ソケットリフトの基礎知識や手術の流れを解説

こちらの記事では、インプラント治療を行う際に必要な顎の骨を増やすための手術「ソケットリフト」を紹介しています。ソケットリフトの定義や適応症例などの基本的な知識から手術を行う場合の流れ、メリットと注意点などをまとめました。

ソケットリフトの基礎知識

ソケットリフトの定義と適応症例

インプラント治療におけるソケットリフトとは、上顎にインプラントを埋入したいものの、骨量が不足している場合に用いられる、骨を増やす手術（＝骨造成）のひとつです。上顎の奥歯に上にある「上顎洞」と呼ばれる部分に骨を補っていきます。

ソケットリフトは、骨の厚みが5mm以上ある場合かつ小さな範囲の場合に適用されるように、ある程度骨の厚みがあるケースにて用いられています。

ソケットリフトの手術手順

手術前診査・治療計画から骨挙上までの流れ

ソケットリフトを行う場合には、まずは口腔内全体の確認を行うことに加えて、全身の健康状態の確認を行います。また歯科用CTやレントゲンを用いて骨量や上顎洞の位置・形態などを確認し、手術計画を立てていきます。

治療計画に患者が納得したら、手術を行います。手術を行う部位に局所麻酔を行った上で歯肉を小さく切開し、ドリルで歯槽骨に穴を開けます。その後専用の器具を使用して上顎洞粘膜を慎重に押し上げて損傷しないように隙間を作り、人工骨や自家骨などの骨補填剤を追加することによって、治療に必要な骨量の確保を行います。その後、インプラント体の埋入を行って歯肉の縫合を行います。

ソケットリフトのメリットと注意点

低侵襲性・短期治癒と合併症リスク

ソケットリフトは、同じように骨量を増やす手術であるサイナスリフトよりも切開する範囲が小さいため、患者への負担が少ない点がメリットです。また骨造成とインプラント埋入を同時に行えますので、治療期間の短縮につながることもあります。

その反面、上顎洞粘膜の損傷による上顎洞炎が生じるリスクが考えられます。そのほか、骨の厚みが少ない場合や広い範囲において骨を増やす必要があるケースには向いていません。さらに、高度な技術と経験が求められる手術であるといえます。

こちらの記事では、インプラント治療を行うための骨の量が少ない場合に行われることがある、ソケットリフトについて解説してきました。ソケットリフトは患者への負担が少ない点や、治療期間の短縮につながる可能性があるなどのメリットがある反面、上顎洞炎リスクがある点や高度な技術・経験が求められるといった面もあります。あらかじめメリットとデメリットの両面をしっかりと知った上で、治療を受けるかどうかを検討することが大切です。