抜歯即時インプラントの概要やメリット・デメリットを紹介

こちらの記事では、抜歯とインプラント埋入を同日に行う抜歯即時インプラントを紹介します。治療の概要や適応基準、埋入手術のステップ、メリットとデメリットなどをまとめました。

抜歯即時インプラントの概要

定義と特徴

抜歯を行った日と同日にインプラント体を埋入する治療法を「抜歯即時インプラント」と呼びます。従来のインプラント治療は、抜歯を行った後は治癒まで数ヶ月置いた後、インプラントを埋入して上部構造を装着する、という流れとなります。しかし、抜歯即時インプラントでは、1回の手術にて抜歯とインプラントの埋入を行えるため、治療期間を短縮できることに加えて患者の負担を軽減できます。

抜歯即時インプラントの手術プロセス

埋入手術のステップと適応基準

はじめにカウンセリングや術前検査を行い、抜歯即時インプラントを行えるかどうかを判断します。治療が可能であると判断された場合には、治療計画を立て、患者への説明が行われます。

治療について患者の合意が取れたら、手術のステップに進みます。手術を行う場合には、まず局所麻酔をして抜歯を行います。この時、可能な限り周囲の骨・歯肉を傷つけないように慎重に行います。ここで、歯を抜いた穴が清潔であること、さらに十分な骨壁が残っていることを確認し、インプラント体を埋入します。もしインプラント体の周りに隙間ができてしまう場合には、骨補填材を使用します。その後、インプラントと骨が結合するまで数ヶ月期間をおき、安定したことが確認できたら最終的な人工歯を装着します。

抜歯即時インプラントを行うにはさまざまな適応基準が設けられており、例えば骨量・骨質が十分であることや全身状態が良好であること、抜歯窩周囲の骨壁が温存できる症例であることといった点を満たす必要があります。

抜歯即時インプラントのメリット・デメリット

リスク管理と注意点

抜歯とインプラント体の埋入を1回の手術で行えるため、治療期間と治療回数を減らせる点や、抜歯直後にインプラントを埋入することで顎骨の減少・歯肉退縮を防ぎやすい点、歯肉の切開が不要または最小限で済むことから、患者の負担が少なく済むといったメリットがあります。

その反面、抜歯直後は細菌感染のリスクが上がることから消毒とケアが欠かせないことや、骨室・骨量が不十分な場合には、インプラントが脱落してしまう可能性がある点、適応症例に限りがあるなどのデメリットが挙げられます。また、難易度が高い治療方法であることから、対応できる歯科医院が限られる点にも注意が必要です。

本記事でご紹介した抜歯即時インプラントは、1回の手術で抜歯とインプラント埋入を済ませることができます。この場合、患者への負担軽減、治療期間の短縮などさまざまなメリットがあります。ただし、適応症例が限定される、細菌感染のリスクが上がる、対応できる歯科医院が限定されるといったデメリットも。そのため、治療を受けたいと考える場合には、十分に医師と話をし、自身の症例に適応できるかといった点から確認することが大切です。